ファスナー加工・考察

 
 カバン・小物・革製品を製作するのに、必ず通るのが・・・ファスナー加工

今回は、加工の際の基本的な事・詳細・関する考察を書いていきたいと思います。
ちょっとマニアックな内容になるので、どうぞご容赦下さい。

ちょっと大げさなようで、ここで差が出るといっても過言ではありません。

個人的にも、スピーディかつ正確に丁寧に作業を行っています。

そもそも・・・

ファスナーという言葉自体の定義は広く、衣類用のスナップボタンも含まれます。
これは、いわゆる「点ファスナー」。

他にも、ドットボタン等も含まれます。
有名なのが、アメリカ製DOT社/スコービル社・ドイツ製PRYM社・・・等、他多数。

↓この仕組みとなっているのが、「線ファスナー」といいます。

線ファスナー

線ファスナーは、線上のファスナー(開閉可能な留め具)である。
古くは、スライドファスナーともいったが、現在は単にファスナーと称することが多い。

主に、衣類・靴・カバン類・小銭入れ等に取り付けられており
着脱や出し入れを容易にする役目を果たしている。

線上に並んだ務歯(ムシ)が噛み合う事で両側を固定する。
1891年、アメリカで発明された。
商標から、ジッパー・チャックとも呼ばれる。
                         (wikipedia より抜粋)

材料屋・手芸屋で長さを指定し、お店の方に加工してもらう方法もあり

何mで購入し、自分で長さを決めて加工する方法もあり・・・

いろいろな物に使用する事を考えると、まとめた長さを購入しておいたほうが経済的

そして自分で加工すれば、わざわざお店に行く等のタイムロスもなくなる。

この務歯といわれる金属の部品(プラスチックのものもあるが、今回は金属のものに絞る)

これを外す際に、いわゆるテープ部分が痛んでします。

ファスナー加工を実際にやった方は経験ありませんか?

↓ 例:テープ部分が糸がほつれて、つってしまっている状態

こうなってしまうと、引き手(スライダー)や上留め・下留めを固定する際に

きれいに固定できません。

また、端の処理をした際にはいわゆる生地の「ボソボソ」が残ってしまう。

ライターで炙ってそのケバを飛ばしたとしても、テープを焦がしたり溶かすリスクがある。

色の薄いテープを焦がしてしまうと、結構目立つんですよね。
(対策としては、サンドペーパー細目で軽くこする。但、テープの表面が毛羽立つ恐れアリ)

このテープ部分、素材的には綿のものもあれば、化学繊維のものもあり

綿は焦げやすく、化繊は溶けやすい。

ましてや、化繊のものは生地の打ち込み(※)が甘いため、務歯を取る際に強く引っ張るとほつれやすい。

(※)打ち込みとは?

織物の「密度」は、「打込本数」で表す。

『190本ブロード』など○○本と記載されている場合は生地の打ち込みの本数を表している。
 「打込本数」とは、綿織物においては1インチ(2.54cm)当たりの 「タテ糸」 「ヨコ糸」 の 合計本数 のこと。

打ち込み本数が少ないと使用する糸の量が少なくてすむので、同じ糸を使用していれば生地単価は安くなる。

打ち込みの本数を多くすれば、糸の量が増えるだけでなく生地密度も高くなるので触り心地は滑らかになる。



そもそも、務歯を外す際に使う工具なのだが・・・
ファスナーペンチといわれるものが一般的。
他は、喰い切りとか、ニッパーとか。

個人的には、あまり切れ過ぎるのは使いにくい気がする。(あくまで個人的所見)

テープ部分を切ってしまう事もあるし、務歯を変に切ってあとが大変って事もある。

僕自身は、ロンドンのマーケットで買ってきた喰い切りのゴツいやつ(¢50・当時日本円で¥100)とか
あとは、国産の喰い切りをちょっとだけ「刃先をペーパーで落として」使っています。

切り過ぎず、グッと力を入れる事も出来る
もちろん、切る事も出来る。

務歯は、そもそもテープ部に挟んで固定しているものだから

「切るのではなく、切り込みを(圧)を加える事によって、テコの原理を利用し開く」

・・・という感覚が、一番テープを傷つけずに処理する方法のように思う。

もちろん、その人その人でやり方は違うけど・・・

力のない女性でも無理なくできる、とか
慣れていなくても、きれいに仕上げるとか

教室を通して感じた事。

作業性を考えると、こうなのかなってところにようやく辿り着いた気がします。

だらだらと長く書きましたが、それだけこういう細かい部分の集合により

もの作りは成り立っているんだなと

精度を上げていけるのかなと

・・・思ってやまない訳です。

ご参考までに。

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