普段、オーダーで革製品を作ったり、既製品を販売したり、コレクション出したり・・・
その中で結構多いのが、修理のお仕事。
うちは「駆け込み寺」のように、修理品をお持ちになる方が多くいらっしゃいます。
その品物を見る度に、「その人その人で愛着があるんだなー」ってのを実感したり。
正直、修理って手間がかかります。
中には、作り直した方が早いんじゃない??ってのもありつつ・・・
でも、その人にとっての大事な物。
本当の意味で、一点ものなんだなって思います。
それに触れる事が出来るから、修理は基本好きです。
今回のお修理は、ご年配の女性の方お二人。
1)かなりの外反母趾。
楽かなと思って買ったけど、サイズが大きすぎてスポスポ抜けちゃう。
返すのも悪いし・・・
気に入って買ったけど、でも履けないから処分せざるを得ないかなと思ってた靴。
・・・確かに、これだと抜ける一方。
R「じゃあ、ストラップをつけて甲でホールドするようにしましょう」
↓完成型。
マジックテープでホールドしやすいようにしました。
手首の調子が良くないという事を仰っていたので、少し幅は広めに。
履いてみたらぴったり。
「すごーい!ぴったり!これで毎日でも履けるわー!!」と喜んで頂けました。
2)百貨店で購入したものの、足の甲辺りにガングリオン(脂肪の塊)があり
靴のエグリ(履き口)が引っ掛かるように当たり、頭の先まで痛くなってしまう。
30分も履けない。
履いた感じがちょっときつそうなのと、もろに当たっているので徹底的に伸ばしました。
使用した革の厚みは、6mmほど。
しばーらく寝かして革を十分に伸ばして、U字のエグリの部分を上向きに立ち上げました。
そして、できた隙間に柔らかめのクッション材を裏から当てる・・・と。
そうすることによって、エグリが完全に上に逃げます。(分かりにくい表現?)
直接、ガングリオンに当たらないように
歩いても、直接エグリが触れないように。
お履き頂いたら・・・
「今、むくんでるのに全然平気になったわ!
ちょっと高い買い物だったから、せっかくだし履きたかったの!これで履けるわ!」
お二人とも、とーっても素敵な笑顔。
あ、いいなーと思って、「一緒に写真写ってくれませんか?」とお願いしてみました。
そのくらい、すごくいい表情だったのです。
そしたら、「私たち写真がすごく苦手なの、孫とすら写らないし」ってw
でも、「気分もいいし、今日は特別よ!」って言って頂けて↓
なーんか、すごく僕にとって記念の一枚になりました。
帰り際、「本当に助かりました、ありがとね」って言って頂けて
「あー、この仕事やってて良かったなー」って。
帰りの車、なんとなく 「 THE BYRDS / Mr.Tambourine Man 」を聞きながら帰宅。
優しい曲調に、ちょっと癒されつつ・・・
今日は、「喜んで頂ける仕事に、携わることができる幸せ」を改めて感じた一日でした。