1月21日・2月4日は、桑沢デザイン研究所にて特別講義をしてきました。
非常勤教員の僕は、担当が・・・
ファッションデザイン・テキスタイル科(2年生)。
http://www.kds.ac.jp/
http://www.kds.ac.jp/about/professor/
1年に2回の授業。
ちょうどこの時期に、革の基本的なことや実技・実演を計6時間みっちり行います。
時間は、AM9~PM0:10まで。
今年は15名~ほどの生徒を教えます。
今年で7年目になりますが、雰囲気は毎年違うので非常に面白い。
ベースラインだけ決めて、あとは流れでやります。
革に触れる機会もなかなかないだろうから、きっかけとなる良い授業をと思いつつ・・・
今年は、「修理・メンテナンス方法」の実演をカリキュラムに追加。
修理したいもの・手入れがわからなくてこまっているもの、を持ってきて貰い
みんなの目の前で、修理・メンテナンスを行いました。
↓こういう傷や剥がれを直したり、あとは汚れ落とし。
・・・革の色が落ちないように、汚れだけ落としたり。
修理って、改めて素材の特性・応用力が問われるので難しいのではないでしょうか?
毎度のことながら、持っていき忘れが本当に嫌なので・・・
工具やらメンテナンスグッズを多数持っていきました。
相変わらずの荷物の多さ(´Д` ) ↓
毎回、共通のテーマなのですが「革素材について」。
革の可塑性にテーマを置いたりしつつ・・・
( 学科 )
・皮→革への加工(鞣し)過程
・革の種類について
・素材の特徴/皮革の処理法/皮革加工法 ・・・等
上画像にも載っていますが、今回はよりわかりやすよう新たに資料も作成しました。
( 実技 )
・手縫い/縁処理の仕方
・皮革製品メンテナンス/ケア方法
・靴木型を使って、釣り込み作業 ・・・等
↓これは実技。
通常は菱目打ちを使って手縫いをしますが、スムーズにいくよう丸抜きにて穴をあけて・・・
ラミー糸を使い、手縫いでコースターを仕上げます。
みんな一所懸命。
おのおの好きな革の色を選んで、好きな色の糸で縫っていきます。
コバ処理もきちんと行い、みんなで無事に完成!
手を動かしのに慣れているのもあるのか、毎回桑沢の生徒はスムーズでした。
そして今回もお決まりで、「1枚の平たい革が、立体になっていくさま」
・・・という意味で、靴の釣込みを実演で行いました。
木型にかぶせて、釣込んでシワを取っていく。
タンニンなめしの革を使用し、木型を抜いてもきちんと形が残っている様子。
これには、生徒も興味津々な様子。
なかなか、靴を実際に作っている様子って見る機会はないと思います。
「ほら、できたよ」と釣り込みが終わったルームシューズ。
「わー!すごーい!」の声がちょっと嬉しいのと、恥ずかしいですw
そもそもの可塑性とは↓
力を加えて変形させたとき、永久変形を生じる物質の性質
「荷重を除いたあと(この場合は、木型を抜いたあと)に残るひずみ(伸び・縮み)
これを、残留ひずみ/永久ひずみという。」
すごく印象に残ったのが、終わってから一人の女性生徒との会話。
R「どんな仕事に就きたいの?」
女「できればデザイナー職に就きたいけど・・・自分にできるかどうか。
正直器用な方ではないから、今いろいろと思い悩んでいるんです」
・・・
実際に始めてみると、思うように作業が進まない。
そのうちに、自分に本当にできるのかどうか自信を持てなくなる。
僕が靴の学校の学生の時、まさにそうだったんですよね。
クラスでも、1・2を争うくらい不器用で苦労しましたw
いきなり上手くいってしまうと、いざという時にポッキリ折れてしまったり・・・
最初は徹底的に苦労した方が、地道に技術を集積できる。
その一心で頑張った記憶があります。
今教えてる生徒でも、決して器用じゃない子も見かけます。
そんな時は心の中で「頑張れ、頑張れ」って、陰ながら応援してる。
その現状を憂いて、「もっとなんとかしたい」「うまくなりたい」
そういう気持ちがあれば、大丈夫だと思う。
現状に満足していないってことは、それだけ自分に納得がいっていない。
その分、伸びシロがあるってことだと個人的には思います。
・・・「だから今はまだ折れずに、やれるだけやってみよう。」
そういう話をして、教室を後にしました。
何だか、いろいろと振り返ることができたのが個人的にも良かったです。
「この授業、すごく面白かった!」「メンテナンスで随分変わるんですね」とか・・・
この授業が、何かのきっかけになればいいなと
そして、「もう少し革に触れてみよう」とか思って貰えたら・・・
それは、僕の思うツボですw